三題噺「パジャマ、落し物、猫」

 青年は、不健康な暮らしを続けていた。あまり働こうともせず、暇さえあれば2chを見ていた。
 しかし、気が向けば機械の発明をしていた。

 彼が今回作ったのは、落し物の持ち主がわかる機械だ。箱の中に落し物を入れると、スクリーンに落とし主の顔や、住んでいる場所が表示される。

「よし、これでこのパジャマの持ち主がわかるはずだ」

 そう言って彼が取りだしたのは、先月拾った女性物のパジャマだ。散歩の途中で、ある民家の庭に落ちていたものだ。本来なら拾うべきでないのだが、うっかり持ち帰ってしまったのだ。

 持ち帰った時分は、罪悪感に苛まれることが多かった。しかし、今ではすっかりパジャマの虜になっていた。朝、夜と香りを嗅ぐのは日課になっていたし、昼間にダッチワイフに着せて楽しむ瞬間は至福の時だった。
 そんな日々を過ごしている内に、持ち主への欲求が抑えられなくなってしまった。そしてついに、この機械を発明したのである。

「きっと、持ち主はロリ顔で巨乳の女子高生に違いない」

 青年は淡い期待を持ちながら、パジャマを機械に入れた。すぐに持ち主がわかった。
 彼の顔が写っていた。

「なんと、これは私の物なのか。きっと長い間クンカスーハしすぎたのだろう。私が長い間愛用したのだから、もうこれは私のものなのだ」

 女子高生は映らなかったが、青年は少し上機嫌だった。



 次の日、彼は散歩に出た。久々に浴びた太陽は、容赦なく彼を射した。
 すると、細道から首輪をつけた猫が出てきた。彼がいつも餌をやっている猫だ。もちろん、餌代は親から出ているのだが。
 猫の愛くるしい仕草を眺めていると、彼は昨日の発明品のことを思い出した。あれを使えば、元の飼い主がわかるのではないか。

 家へ帰り、早速猫を機械に入れてみた。

 「まったく、ペットを捨てるなんてけしからん」

 ペットを捨てるような責任感のない奴だからな、いかにも悪人面な顔が映るに違いない。

 しかし、スクリーンには彼の顔が映っていた。

「私のものではない、返して来よう。いやしかし、今から捨てに行くと勘違いされるかもしれない。世話をするしかないのか。……だが、いつのまに私のものになったのだろう」
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