読書は力だ

読書力
著:齋藤孝
岩波新書


評価 98点


要約



★ 読書はなぜ必要か? どうすれば読書力がつくのか?
  本書では、その答えを提示している。
  

読書をすると何が良いのか。その答えは、
読書は自己形成のための糧だからであるというものであったり、
読書はコミュニケーション力の基礎となるからだ、
といったものである(p4)

「読書力がある」ラインとは、「文庫100冊・新書50冊」である。
   (文庫本=新潮文庫の100冊のようなもの)
「力」を「経験」という観点から捉えた規準だ(p8)

精神の緊張を伴う読書が、ここで想定している読み方だ(p9)



★ 自己形成とは何か?
  人は社会に出ると、様々な人間関係や、多様な価値観に晒される。
  そうなると、「あるときはA」「別のときはB」といったように、一貫した思考、行動がとれなくなる。
  こうして、自己は曖昧になっていく。

  自己形成をするには、強く根を張った幹となる部分に、多種多様な枝葉をつける必要がある。
  自分をしっかりと持ち、他者の価値観も受け入れる。
  そうして、自己は強靭になるのだ。
  (URL先の文章を参考にして書きました)

  smizok.net/image/design/other/shumizakka/gif/PDF0171x.pdf
  (自己形成の心理学 ー他者の森をかけ抜けて自己になるー)
  

矛盾しあう複雑なものを心の中に共存させること。
読書で培われるのは、この複雑さの共存だ。
自己が一枚岩なら壊れやすい。
しかし、複雑さを共存させながら、徐々にらせん状にレベルアップしていく。
それは強靭な自己となる。
思考停止せず、他者をどんどん受け入れていく柔らかさ。
これが読書で培われる強靭な自己のありかただ(p52)

一度自分と他者との間に本質的な事柄を共有するというのが、
アイデンティティ形成の重要なポイントだ。
他者と本質的な部分を共有しつつ、自己の一貫性を持つ。(p86)

「自分だけが悲惨なのだ。周りの者は自分のような境遇をわかりはしない」
と、狭い世界だけを見て決めつけると、精神的に追いこまれてくる
自分と同じどころか、より辛い運命に晒された人がいる
そして、それを乗り越えて生きていると言う事を知るだけで、活力が湧いてくる(p90)

現実社会で直接付き合えば、変なヤツ・嫌なヤツ・癖の強いヤツとしか見えない相手でも、
上手に描写された文章を読むと、味わいかたがわかってくる(p93)



★ 読書とは、著者とのコミュニケーションである。
   読書をすることで、対人関係を良くすることが出来る。

読書経験が生きてくるのは、
5分前、10分前、20分前に話された相手の言葉を引用して会話に組み込める技においてだ。
すると相手は、自分の中に脈絡が出来たことを喜ぶ。
この力をつけるには、メモを取る習慣が必要だ。

メモをする力も、読書を通じて鍛えられる。
離れた段落に脈絡を探す練習が、メモ力を鍛える。
(p156、157)



★ 読書会を開くコツも書いてある。
  「全て読むことを強要しない」
  「心に残った一文を紹介し合う」
  など、わかりやすいコツが満載である。


★ 巻末には、オススメ本100冊が紹介してある。
   入門に適したもの、難しいがすっきりした読後感が味わえるものなど、さまざまである。
   何を読んでいいかわからない人は、ここから選ぶのも良い。




面白かったところ


☆ 教養という言葉は、ビルドゥングというドイツ語をもとにしている。
   ビルドゥングには、自己形成というニュアンスが色濃く入っている。(p53)


☆ 日常の言葉だけで思考しようとすれば、どうしても思考自体単純になってしまう(p66)


☆ 言葉が繊細に使えれば使えるほど、五感もまた研ぎ澄まされる。(p121)


☆ 自分を肯定する自己肯定感は、自分自身に向き合うときよりも、
   何か素晴らしいものに向かっているときに感じやすい(p70)



読書力 (岩波新書)読書力 (岩波新書)
(2002/09/20)
斎藤 孝

商品詳細を見る



スポンサーサイト

正しい掟というのは、自由へ導いてくれるものだけなのだ

かもめのジョナサン
著:リチャード・バック 訳:五木寛之
新潮文庫


★ 評価 100点

 かもめのジョナサンは、飛ぶ研究を重ねることで、
 偉大なる自由を手に入れる。

 普通のカモメは、魚を食べるために生きている。
 しかし、ジョナサンの目的は飛ぶ事。
 限界を越え、新しい飛行技術を次々と会得する。
 その度に、彼は自由を発見する
 群れの仲間から奇異の目で見られても、やめることはない。

   ・ぼくは自分が空でやれる事は何か、
   やれない事はなにかってことを知りたいだけなんだ(p11)

   ・<限界突破>のことを聞いたら、きっと大騒ぎして喜ぶぞ。
    漁船と岸との間をよたたと行きつ戻りつする代わりに、
    「生きる目的」が生まれたのだ。
    我々は無知から抜け出して自己を向上させることもできるし、
    知性と特殊技術をそなえた高等生物なのだと自認することも可能なのだ。
    我々は自由になれる!
    いかに飛ぶかを学ぶことが出来る!(p36)

    ・いまやわれわれは生きる目的を持つにいたったのです。
     学ぶこと、発見する事、そして自由になることがそれだ!(p39)

    ・彼のただひとつの悲しみは、孤独ではなく、
     輝かしい飛行への道が目前に広がっているのに、
     そのことを仲間たちが信じようとしなかったことだった。(p40)


 彼は群れから追放されるが、空の向こうで、同じ目的を持つ仲間に出会う。
 仲間から、新たな飛行術や瞬間移動を教わることで、さらに自由へと近づく。

    ・完全なるスピードとは、光の速さで飛ぶ事ではない。
     なぜなら、どんなに数字が大きくなってもそこには限りがあるからだ。
     完全なるものは、限界を持たぬ。(p66)

    ・瞬間移動の秘訣は、自分自身を、
     「限られた能力しかもたぬ肉体の中にとじこめられている哀れな存在」
     と考えるのをやめることにあった。(p75)

    ・ジョン、きみみたいに学ぶことをおそれないカモメに、
     私は過去1万年のあいだ出会ったことがないぜ(p79)


 最後には、彼は仲間のもとへと戻り、
 他のカモメに飛び方を教えるようになる。
 その過程で、彼は他人を愛することを学び、さらに自由へと近づく。

    ・カモメにとって飛ぶのは正当なことであり、
     自由はカモメの本性そのものであり、
     そしてその自由を邪魔する者は、
     儀式であれ、迷信であれ、またいかなる形の制約であれ、
     捨て去るべきである
     正しい掟というのは、自由へ導いてくれるものだけなのだ(p113)

    ・きみに必要なのは、毎日すこしずつ、
     自分が真の、無限なるフレッチャーであると発見しつづけることなのだ。
     そのフレッチャーがきみの教師だ。
     きみに必要なのは、その師の言葉を理解し、その命ずるところを行うのだ(p128)

    ・彼らが自分自身を見いだす手助けをするのだ。
     わたしのいう愛とはそういうことなんだ(p126)


興味深いのは、自由を求めることで、他人を愛することができるようになること。
ある小学校の校歌に
「ぼくのえがおが大切だから あなたのえがおも大切にするんだ」
という1節がある。
本当に素晴らしいものを手に入れたときは、他人にも分けてあげたくなるものなのだろう。
目に見えない「自由」であったとしても。
それが「愛」なのだと思う。


「正しい掟とは、自由へと導くものだけだ」
ジョナサンを追放した群れは、本当は、自分のしたいことをしていない。
彼らの「同胞の掟」とは、他人の価値観に身を委ねているだけだ。
他人の考えを正しいと思い込むことで、自分を不自由にしている。
それは、あまりにも勿体ない。


かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)
(1977/05)
リチャード・バック

商品詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

おまわりさんにもオゴってもらえる

「お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!
中村文昭
サンマーク出版


★ 評価 93点

 人との縁を作る方法を、著者の体験を元に書かれた本。

 著者は、レストラン・ウェディング事業と講演をしているそうですが、
 2つとも口コミだけで広まっています。

 それができるのは、著者の「人懐っこさ」と「情熱」の力である。
 この2つが、出会った人を笑顔にし、感動させるのである

 新幹線で隣に座った人や店員ともすぐ打ち解けたり、
 全く知らない人から2億円を借りたりと、とにかくすごいです。


☆ 面白かったところ

 注文をとりにきたウェイトレスに
 「今夜はあなた色に染まってみるわ。店のおすすめでなく、あなたが個人的に好きなモノを選んでみて」
 と言うのです。(p209)

 「この講師の先生と仲良くなりたい」と思ったら、
 一生懸命「なるほど、なるほど」とうなずいて、なるべく優しい目で講師を見て、
 そして笑うところはオーバー気味に笑います。
 そうすると、講師は、僕の方を見る回数が増えてきます。(p162)

 「覚えておこうと思ったら窮屈だろう。
  書いた瞬間に忘れた方が、新しい情報がどんどん入ってくる」(p152)

 「この本はここがいい」と思ったら、そこで読むのを止めます。
 そして、「これを誰に言ってあげよう」
 「あの人に話したらどうなるだろう」
 「これを応用して、こういう風にやってみよう」と想像します(p154)

 新幹線では、隣の人の足を軽く踏んで、相手の足もとに屈みこみ、ハンカチで靴を拭きます。
 相手が「もういいですよ」と言い、話のきっかけが出来れば
 「私、レストランをやってるんです。客商売の人間がお客様の足を踏むなんて言語道断です。
  ほんま、ドンくさいところがありまして」
 あっという間に自己紹介が出来ます(p3)


お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!
(2003/06)
中村 文昭

商品詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌