眠らないように努力していると、しだいに眠くなってくる

哲学教授、土屋先生の哲学的(?)な笑えるエッセイ集。

■ 評価 81点

書いてあることはごく普通のことなのですが、書き方がすごい。
途中で話が脱線するのだけど、さも脱線してないかのように話し続けるのが面白い。


□ 面白かったところ

好きなものを後に残すようにすると、一口食べる度に前回口にしたよりおいしいものを食べる事になる。
嫌いなものを後に残すと、一口ごとにまずくなる

好きなものから食べると、目の前にある料理のうちもっともおいしいものを食べることになる。
嫌いなものから食べると、目の前にある料理のうちもっともまずいものを食べることになる(p20)

私が疑問に思うのは、ニュースが多かろうが少なかろうが、割り当てられるスペースが決まっていることである。
たまにはアナウンサーが「今日はニュースはありません。ごめんなさい」というのを聞いてみたいものだ(p27)

試験室には緊張がみなぎっている。とても麻雀をする気にはなれない(P30)

副作用の激しい薬の量を減らすため、薬を飲むたびに特定の匂いをかぐようにしたところ、
匂いをかぐだけで薬の効果が得られるようになり、副作用をまぬがれた(p44)

コンサートでは「途中退場料」をとることを検討している。
金を払ってでも私の演奏を聞きたいと思う人はいないだろうが、
金を払ってでも私の演奏から逃れようとする人は多いと思うのだ。(p96)

審査というものは、学習の段階にある者を実力のある者が評価するのが普通だが、
美人コンテストの場合、女から見向きもされないような男が審査している。(p143)

人間の言動は一貫しない。
良い景色をみると「絵のようだ」という。それならば絵を見ればいいと思うのだが、
絵を見て気に入ると「実物のようだ」といって称賛する。(p219)


ツチヤの軽はずみ (文春文庫)ツチヤの軽はずみ (文春文庫)
(2001/10)
土屋 賢二

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ものを作るということ

芸術の価値は、作品そのものよりも、作品を生み出す過程にあると思う。

「生のオブジェ」というものが、兵庫県宝塚市の武庫川中州にある。石を「生」という文字の形に積み上げた作品だ。
この作品は、阪神・淡路大震災から10年後の平成17年1月、同市在住の現代美術家、大野良平さん(51)が「街と人の心の再生」をテーマに制作した。

使われる用途のない石に新しい命を宿し、「再生」を見事に結晶化させたこの作品は、人々の心に大きな影響を与えたと思う。
大野さんの再生にかける想いが、作品を通して人々に伝わっていく。
「再生の思いを込めて石を一つ一つ積み上げることに作品の意図がある」

石のオブジェといえば、沖縄の高校生が作った「石の声」という作品がある。
沖縄戦の犠牲者数23万6095人と同じ数の石に、1から初めて番号を書きこみ、円錐型に積み上げてある。

高校生達は、1つ1つの石に対して「この石はどんな人だったんだろう」と想像しながら書いたという。
だからこそ、見ている人は石と犠牲者を重ねることが出来る。

「何を作るか」ではなく「どう作るか」。
良いものには必ず、良い魂が宿っている。

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世の中で一番うまいものは水ですよ。これに負けない酒が作りたい。

永六輔の無名人名語録

■評価 62点

 読み人知らずの名言集。
 たくさんあるので、20個くらいは気にいるのがあると思います。
 価格も340円とお手頃です。


□お気に入り(p28)

 「なんといっても、世の中で一番うまいのは水ですよ。
 いい水が喉を通ってゆくときの心地良さ、これに勝るものはありませんね。
 これに負けない酒が作りたい。
 水っぽい酒じゃありませんよ。
 水のような酒ができればというのが夢なんですがねェ」

無名人名語録 (講談社文庫)無名人名語録 (講談社文庫)
(1990/05)
永 六輔

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金子みすず童謡集

最近話題になっている……ではなく遠子先輩が薦めてくれた金子みすず童謡集です。

■ 評価 94点

金子みすずの良さは、読んだ後に優しい気持ちになれることだと思います。
物事の裏側を豊かな言葉でつづるという行為は、そのまま優しさに繋がる。

相手の裏側にある想いを美しいと感じることが、優しさだと思う。

つまり、美しい言葉をたくさん知っていれば、それだけ他人に優しくなれるということだと思う。
そのためにも読書を続けよう。


□ お気に入りの詩

   「蓮と鶏」

   泥のなかから蓮が咲く。
   それをするのは蓮じゃない。

   卵のなかから鶏が出る。
   それをするのは鶏じゃない。

   それに私は気がついた
   それも私のせいじゃない


金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)
(1998/03)
金子 みすゞ

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これだけの境界条件から、科学的に再現可能な他の解答が考えられますか?

■「理科系作家」と称される森博嗣のデビュー作

 この本は僕にとって、とても衝撃的だった。他のどんな作品とも明らかに違う、全く新しい小説だった。
 
 まず、登場人物が理系であるため、会話や思考が独特だ。
 科学の話題がごく自然に語られ、人生観や哲学もふんだんに盛り込まれている。
 1文1文に無駄がなく、すべての文章が面白い。

 本書はミステリィであるが、推理方法も独特である。
 「犯人の目的は常人には理解できない」と考え、「事実だけをもとに推理」する。
 そして、誰もが考えもしなかった結論を導く。
 
 「これだけの境界条件から、科学的に再現が可能な他の解答が得られますか?」 


□じゃあ、コンピュータウイルスは生物だね

 生物の定義は何か。

 「いつか死ぬもの」は定義にならない。死ぬという定義の前に、生きていることを定義しなければ。

 「自己繁殖すること」とすると、コンピュータウイルスも生物に含まれる。

 「有機物で出来ている」は定義にならない。
 「生物を作るものを有機物」と定義しているからだ。

 「自己防衛能力、自己繁殖能力、エネルギィ変換を行う」とするとどうだろう?
 すると、起き上がりこぼしも生物になる。
 これは有機物(木)で出来ている。自己防衛能力(倒されても起き上がる)もある。その際、ポテンシャルエネルギィを運動エネルギィに換えている。
 また、人間が欲しがるため、どんどん生産される。結果的に自己繁殖している。
 他の生物の力がないと自己繁殖でない生物はいくらでもいる。

すベてがFになる (講談社文庫)すベてがFになる (講談社文庫)
(1998/12/11)
森 博嗣

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「根ものは水から」の調理法は、もう古い?

■「勉強」だけでは触れることの出来ない、理科系の面白い雑学が満載です。


□「根ものは水から、葉ものは湯から」

料理ではおなじみの格言ですね。
根ものをお湯で茹でると、外側のでんぷんがのり状になって、中まで熱が伝わらなくなります。結果、芯が残ってしまいます

しかし、最近の野菜は収穫期以外にも流通しています。この間にでんぷんが変化して、のり状になりにくくなります。
保存技術の発達、長期保存可能に耐えるための品種改良も相俟って、この傾向は大きくなってます。

なので、最近の根野菜は、湯から茹でてもおいしく食べられるようです。


理科系雑学―どん欲な「好奇心」を100パーセント満足! (知的生きかた文庫)理科系雑学―どん欲な「好奇心」を100パーセント満足! (知的生きかた文庫)
(2000/09)
竹内 均

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